日本に民主主義はない。
500ページ近くあるので時間かかったけどついに読了した小室直樹の憲法原論。
いやーーーーすごい本でした!!!
別に感動する話が書いてあるわけではないのだけど、
大天才経済・法社会学者、小室直樹の憲法を軸にした世界の描き方が鮮やかすぎて鳥肌が立ち、涙がでそうでした。
- 日本人のための憲法原論/集英社インターナショナル
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憲法は国民のためのものではない。
というところから始まります。
そして話は、マルチン・ルターとカルヴァンのプロテスタンティズムから、ヒトラーの天才的な経済政策、田中角栄のロッキード事件から三島由紀夫の自決まで!
中世ヨーロッパの王政の時代から、宗教改革があり、プロテスタントの予定説があり、民主主義が生まれ、資本主義が成り立ち、アメリカが独立して、日本の民主主義促進のために明治憲法が創られて・・・・という壮大な背景があっての、
三島由紀夫の「現人神である天皇が人間宣言などしてはいけない!」につながる。
小室先生のあまりの抽象度の高さに度肝を抜かれました
500ページ近くもあるけど、とても簡単にわかりやすく書いてあるので本当にスイスイ面白く読めます。
これが高校の政治経済、そして歴史の教科書だったら、どんなに惹きこまれたことか!!
私が校長先生の学校では、小室直樹は教科書として使います、絶対。
全部読むと、ヨーロッパ人たちの血のにじむような試行錯誤から生まれた民主主義における『平等』を、現代の日本人は根本的にはき違えてしまっているというのがよくわかりました。
ヨーロッパ人たちの『平等』は、神という絶対的存在からしたら人間なんて王だろうが小作農だろうが大差ない。
だから言論や思想は自由だし、人権を主張してもかまわないという考え方で、これが民主主義の基盤となっています。
ところが日本人には神の前での平等という概念がわからず民主主義をはき違えてしまったため、学校教育ではみな同じことを学び、みんな同じ思想を持つことが平等ということになってしまった。
結果的に社会主義になってしまっている、というのが小室先生の主張。
本当にその通りだ!!
というか小室先生が亡くなった2010年以後、日本は社会主義から全体主義に走っているようなものと言わざるを得ません、過激発言だけど。
憲法は、国家権力が猛威を振るわないように縛るものというのがその本質なのだそうです。
でも現代の日本では、国民が国家を縛る力があまりにも弱いため、今まさに憲法さえもかえられようとしているのです。
日本の学校はけして、国民の頭をよくするためには作られてはいないのです。
良い大学入って、良いところ(例えば公務員)に就職して、結婚して子供作って、35年ローンでマイホーム買って、老後に余暇を過ごす。
国が敷いたこのレールを進む。
これを社会主義と言わずしてなんと呼びますか?
言論と思想の自由のための、本当の学校が日本には必要です。